すな粉妄想日記

トールの丁寧な愛撫によって、
ユーゴは絶頂を迎えた。

以前のものとは比べ物にならない、
狂おしい程の快感だった。

全身から力が抜けて、
気だるさに包まれる。

それが少しも不快ではない。

荒く息をしながら、兄の方へ顔を向けた。

トールは柔らかな笑みを浮かべ、
優しげな視線を注いでいる。

その瞳は、ユーゴの姿をしっかりと捕らえていた。

「……」

急にとても恥ずかしくなって、
つい顔を背ける。

体の奥にまだ熱が残っているような
感覚に戸惑いながら。

その時、
兄が静かな口調で告げた。

「ここまでにしておこう」

「！…え？」

予想もしなかった言葉に、
思わず声を上げる。

何か言おうとするユーゴの唇に
そっと指を当てて、トールは続けた。

「これ以上は、どうしてもお前に負担がかかる」

ユーゴは目を見開いて兄の顔を見つめた。

瞳に浮かぶ固い決意の色。

本気なのだ。

ここで止めるつもりなのだ。

（そんな…！）

自分を思いやっての事なのだろうが、
納得できない。

それこそ、決死の覚悟で兄を求めたのだ。

なのに今更…

「明日に差し支えるような事があったら、困るだろう」

「……！」

そう言われてしまうと、
ユーゴには返す言葉がない。

黙って頷いたものの、
釈然としなかった。

自分だけが満足してしまった事に、
罪悪感を感じる。

兄の方はまだ、欲望の疼きを
抱えたままなのだ。

それがどんなにもどかしくて辛いか、
同性であるが故に理解できてしまう。