すな粉妄想日記

「愛してるぞ」

トールの綻ぶような笑顔を見て、
ユーゴは顔を赤らめた。

心臓が、どくんと大きく鼓動を打つ。

「ユーゴ」

再び、兄が声を掛けてくる。

同時にその腕が伸ばされ、
優しく肩を掴まれた。

「……っ」

息を呑んだ瞬間、
ぎゅ、と抱きしめられる。

聞き慣れた声が、耳元で囁く。

「大好きだ」

「～～～！！」

途端、ユーゴは反射的に兄を突き放した。

「ばっ…馬鹿！！」

知らず、呼吸が荒くなる。

「そんな台詞、」

耳まで真っ赤に染めながら
声高に叫んだ。

「言われた方が恥ずかしい！！」

が、それを聞いても、兄は相変わらず
屈託のない笑顔を浮かべていた。

愛しさを込めた眼差しを向けて。

「………」

ユーゴの口から溜息が漏れた。

気持ちを静めようとするものの、
鼓動は更に激しさを増していくばかり。

一体、どうすれば良いのだ…

ユーゴは頭を抱え、途方に暮れた。

兄の行動が理解できないこの状態に。

そして、そんな兄が好きで
たまらない自分の気持ちに。