すな粉妄想日記

トールは強烈な
自己嫌悪に陥った。

（俺は……）

いっそ泣き出してしまいたいのを
懸命に堪える。

（……最低な奴だ）

ユーゴの心配そうな顔が
頭に焼き付いて離れない。

そしてその後の…悲しげな表情も。

『兄さん？』

弟は何も知らず、自分を心配してくれたというのに。

『どうかしたのか？』

こんな、罪深い兄を……

「………っ」

良心の呵責に耐えかねて
唇をきつく噛みしめる。

たちまち血が滲み出したが、
弟にした事を思えば
痛みのうちになど入らない。

眠っている間とはいえ、
凌辱される仕打ちに比べれば。

改めてトールは、
自分の罪深さを自覚した。

ユーゴがそれに気づいていない事も
罪悪感を募らせた。

全てを告白してしまえば、
少しは楽になれるのかもしれないが……

ユーゴの方はそうはいかない。

恋人以外の男に、
しかも血の繋がった実の兄に
犯されたなどと知ったら……

弟はどれ程傷つくだろう？

どれ程絶望するだろう？

それを思うと、トールの胸は
ぎりぎりと締めつけられるように痛んだ。

悲しみに歪むユーゴの表情を
想像するだけで、いたたまれなくなった。