すな粉妄想日記

父の手が振り下ろされる度、
ユーゴの口から悲鳴がほとばしった。

空気を切り裂いた鞭が、
白い肌に紅い跡を刻んでゆく。

激痛に体を捩じらせ
むせび泣くユーゴを見ても、
カインは容赦しなかった。

「…ひっ、あ、あっ…」

止めどなく涙が溢れ、
張り上げた声が掠れ始める。

ユーゴにとっては永遠とも思える
数分間が経過した時、
ようやく父の手が止まった。

「……う…っ…ぅ…」

痛みのあまり、シーツの上で
身じろぎしながら呻き声を漏らす。

ユーゴの柔らかな尻には、
無残にも鞭の痕が縦横に走っていた。

これで終わりかと思った矢先、

「！？いっ…！」

そこを乱暴に掴まれ、
びくんと背中を仰け反らせる。

カインの無骨な手が
肉を押し広げ、恥部を露にする。

「…あ…」

ユーゴは頬を紅潮させ、
瞳に不安の色を浮かばせた。

これ以上、何を…？

そんな疑問を考える間もなく、
秘所に冷やりとした感覚。

「…！！」

昨夜、初めて兄を受け入れた場所。

まだ鈍い痛みの残るそこへ
何かが押し当てられ、そして…

「あぐっ…！」

兄の通った軌跡を辿るかのように、
異物が無理矢理ねじ込まれて来た。

生命感のない無機質な物が
体の奥に向かって侵入してくる。

圧倒的な異物感に伴う、強烈な不快感。

内側を容赦なく蝕む感覚に
ユーゴはたまらず悲鳴を上げた。

「いや…、いやだあっ…！！」

しかしどれ程もがいても、
父の責め苦から逃れる事はできない。

昨夜の行為に対する、残酷な罰。

熱い痺れにも似た痛みが全身を貫く。

苦痛に喘ぐユーゴの脳裏に、
兄の姿が浮かんだ。

（……ああ…）

絶望の底に沈みつつ、
縋るようにその名を呼ぶ。

声には出さずに、けれども必死の思いで。

（トール…兄さん…）