すな粉妄想日記

照り付ける日差しも傾き、
遠い山々の向こうに沈もうとしている頃。

団長サウルの元へ騎士団の一同が現れた。

皆、一様に不安の色を浮かべて
落ち着かなさそうにしている。

「どうかしたのか？」

「…はい。サウル団長」

そんな彼らを代表するかのように、
ガレオンが口を開いた。

「トールが…戻って来ないんです」

「何だと？」

部下の言葉に、
サウルは眉根を寄せて訝しむ。

「トールは今日、非番のはずではなかったか？」

「はい。そうなのですが…」

表情を曇らせながらガレオンが答えた。

「昼近く、トールがやって来て」

『これからノルティア氷壁へ行って来る』

そう言い残して出かけたのだと。

「ノルティア氷壁？どうしてそんな場所へ」

団長の問いに、部下達は揃って顔を見合わせた。

しばらくの沈黙の後…

言い難そうにセシリアが告げた。

「…かき氷のための氷を調達して来ると」