すな粉妄想日記

「な…、ちょっと待て！？」

ベッドに組み敷かれ、トールは
困惑の声を上げる。

「どういうつもりだ」

「どうって…」

うろたえる兄の問いに、
弟はいたずらっぽく笑って返事をした。

「こんなチャンス、滅多にないだろ？」

言いながら兄の服を脱がしにかかる。

「ま、待てっ…」

あまりの恥ずかしさに
トールは激しく狼狽した。

本気で拒否しようと試みたが、
その抵抗はあっさりと封じられてしまう。

シャツの前がくつろげられ、
白い胸が露になる。

若くてきめ細やかな肌。

そこをユーゴの細い指が辿り、
唇が押し当てられる。

「っ…！！」

触れられた箇所から、
痺れるような熱い感覚が広がった。

「止めろ、ユーゴっ！！」

頬を上気させ、トールが叫ぶ。

すると、弟は目を細めながら言った。

「僕がそう言った時…」

冷ややかな声。

「兄さんが止めてくれた事があったかな」

「……う…！！」

痛いところを突かれ、トールは口をつぐむ。

これは反論の余地がなかった。

自業自得だ。

「大丈夫」

そんな兄の胸中を察してか、
ユーゴの口調が和らぐ。

「すぐに、気持ち良くしてあげるから」

「……！！」

途端、トールの顔は耳まで
真っ赤に染まった。

何故ならそれは、

『すぐに気持ち良くしてやるからな』

立場が逆だった時、トール自身が
ユーゴに告げた台詞だったから。