すな粉妄想日記

覚悟を決めてドアを開けると、
果たしてそこにはガレオンがいた。

他の団員達の姿はない。

大きく深呼吸をして、
トールは自分を落ち着けようとする。

「お早う…早いな」

「あ、ああ…お早う」

明らかに２人揃って声が上擦っていた。

「………」

「………」

いつもなら気にも留めない沈黙が
やけに重く感じる。

ただ…

嫌だとか、逃げ出したいとか、
そういった感情はなかった。

責任を感じているのだろう、
神妙な顔をしている友人が
むしろ微笑ましく思えて…

「なあ、ガレオン」

努めて明るくトールは言った。

しかし気持ちは真剣だ。

「後でちゃんと、話がしたい。…いいか？」

用件についてはあえて口にしなかった。

それだけ言えば通じるからだ。

「あ、ああ。分かった」

ガレオンがほっとした表情を見せる。

そんな友人の様子に、
トールは思わず顔を綻ばせた。

場の空気が一気に軽くなったようだった。

が、しかし、問題はまだこれからだ。

正式な返事をしなければならない。

正直、トールにはまだ分かりかねていた。

この気持ちは…

ガレオンに対するこの気持ちは、何なのだろう？

友情と恋愛の区別は、どこでつけるのか…？

『簡単な事だよ』

ふと、弟から言われた言葉が頭に浮かんだ。

『その人とキスしたいと思うかどうか…さ』