すな粉妄想日記

「その……」

トールはためらいがちに口を開いた。

「…嫌じゃ、なかったか…？」

落ち着いてみると改めて不安になったのだ。

恋人関係にあるとはいえ、
少し性急すぎたかもしれないと。

相手に触れたい、気持ちを確かめたい。

けれどそれは自分勝手な独占欲で、
行動に出すべきではなかったかと…

「……いいや」

トールの懸念を、ガレオンは頭を振って否定した。

「嫌なわけがあるか」

きっぱりとそう答えて、真っ直ぐな視線を向けてくる。

「ほ…本当か？」

トールは思わず目を見開いた。

安堵と同時に、喜びが込み上げる。

「……お前な……」

心底ほっとした様子のトールを見て、
呆れたような口調でガレオンが言った。

「嫌なら、とっくに拒否しているだろ」

大の男が好きでもない相手に口づけを迫られて、
抵抗しないはずがない。

「……それもそうだな」

言われてトールは、照れ臭そうに頭を掻いた。

「第一、告白したのは俺の方なんだぞ」

忘れたのかと言わんばかりに、
ガレオンは肩を竦めて笑った。