すな粉妄想日記

気がつくと、ユーゴは涙を流していた。

止めようとしても止まらない。

「……っ、……ぅ……」

涙で言葉を詰まらせる。

何も言わずにただ、泣き続けた。

リコの言葉で、ユーゴは自分が
どれだけ傷ついていたかを知った。

ひたすら傷の痛みを我慢して、
できるだけ考えないようにして。

兄の幸せの影で…

ひとりで懸命に耐えていた。

辛かった。

分かっていたはずなのに、
こんなに苦しい。

誰にも言えない…分かってもらえない。

今はただ、我慢するしかない。

時間が経てばきっと、薄れていくはず。

やがてこの痛みを思い出せなくなるくらい。

でも、いつまで？

いつまで……

「……リコ……」

ユーゴは体を震わせながら、
幼馴染みを呼んだ。

その声はとてもか細く、弱々しい。

もう、限界だったのだ。

気付いてしまったから。

縋りたくなってしまったから。

自分を想ってくれる、相手の優しさに。

「……僕……、…は…」

途切れ途切れに言葉を漏らす。

リコは何も言わずに、そっとユーゴの
肩に手を置いた。

「兄さんが……」

嗚咽と共に溢れ出る想い。

「兄さんの事が、好きだったんだ…」