すな粉妄想日記

トールは、すぐに答える事ができずにいた。

迷っていたのだ。

友人から恋人になった相手の事を、
弟に話すべきかどうか。

「…兄さん？」

黙ったままのトールの様子を
不思議に思ったユーゴが、声をかけてくる。

「ごめん。気に障ったかな」

からかいすぎたかと心配になったようだ。

「…いや、そうじゃない」

誤解を招かないように、とりあえず返事をする。

が、しかし…

（…良いだろうか）

心の中では激しい葛藤が続いていた。

（ユーゴになら…話してしまっても）

自分に恋人ができた事を、
弟は素直に喜んでくれている。

できるなら、隠し事はしたくなかった。

何より、ガレオンに対しても失礼な気がした。

同性同士だろうと、周りにどう思われようと、
トールにとって大切な愛しい相手なのだ。

それを、弟にも分かってもらいたい。

「ユーゴ…聞いてくれ」

意を決したトールは、真剣な口調で真実を告げた。

「俺の相手は、男性なんだ」