すな粉妄想日記

柔らかな余韻を残したまま、
唇が離れていく。

胸の高鳴りはまだ収まらない。

トールは、恐る恐る目を開いた。

視界に映った恋人が、伏目がちに俯いていた。

「……！！」

その表情に、思わずどきりとする。

告白してきた時とはまた違った顔だった。

微かに頬を染めて、体を震わせて…

（こんな表情も…するんだな）

何年もの付き合いだが、初めて目にする姿に
トールは軽い興奮を覚えた。

生真面目な青年の、柄にもなく恥らう様子を
目にするのは、きっと自分だけだろう。

それが素直に嬉しかった。

「ガレオン」

真っ直ぐに相手を見つめながら、
トールは告げた。

「……愛してるぞ」

ガレオンが、はっとしたように顔を上げる。

頬の赤みがみるみるうちに広がっていく。

が、トールの視線を受け止めると
真剣な表情になった。

眼差しを見つめ返して、ガレオンも告げる。

「ああ……俺もだ」

２人の間に生まれた、確かな絆。

友情以上の名を持った絆……

それを確かめるために、再び
どちらからともなく唇を寄せ合った。