すな粉妄想日記

何もかもが、初めてだった。

裸身を晒すのも、

その素肌に触れられるのも、

……こうして、愛されるのも。

「ん、…っぁ……」

緩慢な刺激を受け、思わず声を漏らす。

と同時に、恥ずかしさに身を震わせる。

馴染みのない感覚。

どうしていいか分からないまま、
ひたすら戸惑う。

何だか自分の体ではなくなっていくような
気がする。

「……兄…さんっ…」

縋るように兄の名を呼ぶ。

するとトールは身を起こして、
ユーゴの顔を覗き込んできた。

「恐いか？」

優し気な言葉に、素直に頷く。

もう幼い子供ではないが、
初めての体験に困惑するばかりだった。

心臓が破裂しそうなくらい
脈打っている。

兄の事は、好きだ。

愛していると言ってもいい。

だから、触れ合う行為に抵抗はない。

けれども。

「…は、恥ずかしいんだ…」

消え入りそうな声でそう告げる。

裸を見られるなんて、
子供の時以来だった。

部屋の中は暗かったが、
仄かな月明かりが差し込んでいる。

羞恥のためにユーゴの頬は
耳まで真っ赤に染まっていた。

「そうか…」

弟の告白に兄の口元が綻ぶ。

「お前だけじゃ、不公平だったな」

トールはそう言うと、手早く
来ている物を脱ぎ捨てた。

逞しく鍛えられた体が
ユーゴの目前に現れる。

「これでおあいこだろう？」

兄はにっこりと微笑んだ。