すな粉妄想日記

「ちょ、ちょっと待ってくれ…！！」

服を脱がし始めたトールに、
ユーゴは抗議の声を上げた。

「駄目だ」

きっぱりと兄が即答する。

「これ以上待てない」

「…！」

有無を言わさぬ口調だった。

「お前も俺を想ってくれているのなら…」

その手を止める事なく、
トールは言葉を続ける。

「遠慮なく抱かせてもらうぞ」

兄の剣幕に、
ユーゴは思わず黙り込む。

正直、兄がそこまで自分を
想ってくれていたという事実は
とても嬉しかった。

が、どんな理由があったにせよ
何年も会いに来なかったのは
兄の方なのに…と思うと、
どうにも釈然としない。

会いたくてたまらなかったのは、
自分だって同じだったのだから。

「…どうして…」

この際、全部吐き出してしまおうと
ユーゴは口を開いた。

「どうして、
１度も会いに来てくれなかったんだ」

弟の身体をまさぐろうとしていた
手がぴたりと止まる。

「たまには帰って来てくれても、
良かったじゃないか」

弟の恨み言に、
顔を上げてトールは答えた。

「そんな事をすれば、
もう絶対お前を離したくなくなる」