すな粉妄想日記

「トール兄さん……」

欲望を全て受け止めた後、
ユーゴは愛しそうに相手の名を呼んだ。

破裂しそうなくらい、
鼓動が激しく高鳴っている。

「……ユー…ゴ……」

とぎれとぎれに兄が答えた。

碧く澄んだ瞳が、見つめてくる。

大好きだった兄の眼差し……

その中に、ユーゴは自分の姿を認めた。

ああ…と深い溜息を漏らす。

どれだけこの時を、待ち焦がれただろうか。

兄が自分の下を去ってから、
叶うことなどないと絶望していたのに……

今、自分達は結ばれている。

兄は自分だけをー自分は兄だけを、
同じ色の瞳に映して。

「兄さん」

言いたくても、言えなかった言葉。

伝えたくても、伝えられなかった想い。

「……大好きだ」

ユーゴは兄の胸に顔を埋めながら、
そう告げた。

「ああ……」

トールが優しく背中に手を回す。

「……俺もだ」

耳元で囁かれる甘やかな言葉。

懐かしい、心地良い温もりに包まれて、
ユーゴは陶酔のうちに瞳を閉じた。