すな粉妄想日記

無骨な手が肩を掴んでくる。

「……痛っ…！」

強い力で押さえつけられ、
ユーゴは苦しげに呻いた。

が、背中の兄はまるで頓着しない。

そのまま中断する事なく
行為を続ける。

「あ……ぁっ……」

与えられる快感に、
ユーゴはひたすら吐息を漏らす。

（……兄、さん……）

そう。

今、ユーゴを組み敷いている
相手は兄…トールだ。

兄弟でありながら、
体を重ねるという背徳的な行為。

もう幾度目だろうか。

こうして兄に抱かれるのは……

「……ん…」

ユーゴの意識は過去へと戻る。

あの日……

月の光が妖しい程
美しかった夜。

ベランダで向かい合っていた２人は、
とうとうお互いの想いを打ち明けた。

決して表には出すまいと誓ったはずの気持ちを。

心の奥底に秘めていた愛情を。

『愛している』

それからというもの。

兄は狂おしい程ユーゴを求めてきた。

最初は、抱擁。

次は、口付け。

その次は……

「ひぁあっ！！」

いきなり後ろから貫かれ、、
ユーゴは悲鳴を上げて仰け反った。

「あ…、くぅっ…」

強烈な刺激に全身が震える。

下腹部が熱く疼き、張り詰めた自身からは
止めどなく欲望の雫が溢れ出す。

絶頂に向けて、感覚全てが
登り詰めていく。

「…トール、兄さんっ…！！」

感極まって愛しい兄の名を叫ぶ。

兄のものが体内に注がれるのが分かった。

「……はぁ……」

深い溜息をつきながら、
ユーゴの瞳に涙が浮かぶ。

何故だろう。

こんなに側にいるのに。

これ以上ない程近くにいるのに。

兄が、遠く感じる。

どんなに体を重ねても、
どんなに２人で快楽に溺れても。

（……どうして…、……）

何故なのだろうか。

兄を手に入れた気がしないのは。