すな粉妄想日記

兄弟という壁と、同性同士という壁。

どちらが厚くて高いのだろうかと、
折に触れては考えていた。

その両方が揃ってしまった状況では
もはや絶望しかないのだけれど……

しかしそれでも諦める事ができないのが、
恋というものの厄介なところだ。

あまりに近い相手は却って恋愛対象にならない…
そんな話も耳にする。

自分もそう思えたら、どんなに良かっただろう。

こんなに苦しく、辛い思いを抱えずに済んだはずだ。

何故、兄でなくてはならないのか。

兄弟。

純然たる血の繋がり。

結ばれるどころか、想うだけでも罪な相手なのに……

更に残酷なのは、兄が自分を溺愛しているという事実。

一つ屋根の下にいて、惜しみない愛情を注がれて。

あんなに優秀で魅力的な人物に愛されたら、
惹かれない方がどうかしているとさえ思う。

これ以上ないくらい幸せな状況が、
今の自分には耐えがたい苦痛なのだ。

せめて、兄弟でなければ……

幾度もそう考えては打ちのめされる。

何故なら、兄の寵愛は血の繋がりがあってこそのもの。

それはユーゴ自身ではなく、
「トールの弟」へ向けられたもの。

自分と兄の関係はただ、兄弟という
絆によってのみ保たれているのだから……