すな粉妄想日記

無骨な手が音もなく伸ばされる。

それが触れたか触れないかの瞬間、
ユーゴは微かに息を呑んだ。

「……っ…！」

緊張が全身に走る。

体が強張る。

息が苦しい。

押し潰されそうな重圧感に
気が遠くなる。

できれば今すぐ、ここから
逃げ出してしまいたかった。

だがそれは、決して叶わない。

目前の存在がそれを許さない。

「……あ……！」

突然、全身に痺れるような感覚が走り抜けた。

たまらず声を漏らす。

強烈な刺激に、
体が侵食されていく。

細い肢体が快感に跳ねた。

「は、あ…っ！！」

涙で滲む瞳に写る姿。

ファクト家の当主にして、六神官の筆頭。

尊敬する、偉大な父親。

その気持ちは今も変わらないが…

「うああっ！！」

体を貫かれると同時に、引き裂かれる心。

溢れた涙が頬を伝う。

「…ぁ……、…っ…」

薄暗い天井を見つめながら、
ユーゴはぼんやりと思った。

この人は一体…、何を求めているのだろう。