すな粉妄想日記

「…何が言いたい？」

痺れを切らしたユーゴは、
たまらず相手に問いかける。

恐怖よりも、焦りの方が勝っていた。

自分の心に土足で踏み入られた気がして
不愉快極まりない。

この状況を一刻も早く、終わらせたかった。

「…君の」

そんなユーゴの胸中を知ってか知らずか、
相手は冷静に答を返した。

「君の目的は…自分自身だ」

「…！」

それを聞いて、ユーゴはほんの少し安堵する。

自分のため…そうだ。

心は素直に肯定した。

自分が力を持つ事は、
他でもない、自分自身のため。

ごく当然の事ではないか。

「だからどうした？」

ユーゴは強気になって言い返す。

何か、ひどく衝撃的な事を
告げられるのではないかと恐れていたが…

どうやらその心配はなさそうだと判断した。

「…分からないかな」

ダレスの瞳が一瞬、妖しい輝きを見せる。

おもむろにユーゴとの距離を詰めると、
軽く腰を屈めた。

はっとして身を固くするユーゴの耳元に
ダレスはゆっくりと囁いた。

「……っ！！」

途端、ユーゴの顔色がさっと変わる。

予想は見事に裏切られた。

心の奥の、最も触れられたくない部分。

ユーゴが無意識に
押さえ込んでいた感情。

決して認めたくない、認められない感情…

それを、指摘されたのだ。

（どうして…こいつが…）

ユーゴは半ば呆然としながら、
相手の顔を見つめた。