すな粉妄想日記

「…じゃ、コーヒー淹れてくるから」

そう言ってユーゴは
足早に去って行った。

「ああ」

トールは弟の態度に首を傾げる。

何をそんなに、驚いたのか？

考えても分からないので
とりあえず着替える事にした。

部屋に入ると、クローゼットの扉の
鏡を覗き込む。

ユーゴが驚くほど
だらしない姿だったかと。

一応、服装はきちんと整えて来たはずだが…

訝しみながら、鏡に映し出された
自分と向き合う。

（…？）

特におかしい所は見当たらない。

髪も襟元も乱れていないし、
一見して分かるようなものは…

「っ！！」

あった。

一目で分かる、明らかな変化。

ちょうどユーゴの視線を
釘付けにしたその箇所に。

「ダレスの奴っ…！！」

たちまちトールの顔が
紅潮する。

こんな目に付く所に、
こんな跡を付けるとは。

しかも、弟にしっかり見られてしまった。

トールはたまらず
頭を抱える。

ユーゴはどう思っただろう？

ふしだらな兄だと、軽蔑されただろうか？