すな粉妄想日記

ユーゴを問い詰めた後、俺は
兄の所へ向かった。

てっきり部屋にいるのかと思ったが、
兄は居間で本を読んでいた。

１つしか違わないというのに、
この兄の妙に落ち着いた雰囲気が
どうにも俺は苦手というか、馴染めなかった。

しかし今はそんな事を気にしている場合ではない。

「ダレス」

俺の呼びかけに、兄は顔を上げる。

「…トールか。何の用だね？」

深い真紅の瞳がこちらを見た。

何もかも見透かしているような、
そんな瞳だ。

「ユーゴの事なんだが」

「私達の可愛い弟が、どうかしたかね？」

落ち着き払った様子で兄は答えた。

「最近、どうも様子がおかしい気がするんだ。
そう思わないか」

「あの子も年頃だからな、色々あるのだろう」

「それはそうかもしれないが…」

絶対に、何かある。間違いなく。

さっき俺が問い詰めた時の反応が、
何よりの証拠だ。

結局、ユーゴは何も話してくれなかった。

悩んでいる事自体は白状したが、
これは自分の問題だから自分で
何とかしたい、兄さんは心配しないで欲しい…

そしてこう言い切った。

「僕だって、もう子供じゃない」

俺はそこで引き下がるしかなかった。

しかしこの問題をそのままにしておく
訳にはいかない。

だから俺は、兄に尋ねてみようと思ったのだ。

「何かあったんじゃないのか。
…お前とユーゴの間に」

すると一瞬、兄の表情が僅かに変わった。

「…ほう？」

興味深そうな様子で兄は言葉を返してくる。

「君は、何があったと思うのだね？」