すな粉妄想日記

「はい、これ」

照れ臭そうに渡された包みは
かなり大きかった。

その不器用な包装を見れば、
手作りである事がひと目で分かる。

「あんまり上手くできなかったけどさ」

「…いや」

謙遜？するエポナに、
ユーゴは真摯な態度で対応した。

「ありがたく受け取っておく」

とは言え、やはり
上から目線なのだが。

「全く…もう少し、嬉しそうにしたらどうだい」

苦笑しつつ、エポナは肩をすくめた。

「ま、いっか。ちゃんと食べてよね」

そう言うと、踵を返して
立ち去って行った。

ユーゴは少し躊躇したが、

「…ありがとう」

聞こえるか聞こえないか、
ギリギリの所でお礼の言葉を口にする。

それが届いたのかどうか、エポナが
ひらひらと手を振るのが見えた。

…そうして。

家に帰った後、ユーゴは早速、
包みを開けてみる事にした。

隣にはちゃっかり彼の兄がいたが、
あえて気に止めないでおく。

リボンをほどき、丁寧に包装紙を開く。

果たしてその中身は、

「「肉？」」

２人の声が重なった。

しかしすぐに、

「いや、これは…」

「…チョコだな」

訂正の言葉が続く。

どうやら、自分の好物を
チョコレートで表現したらしい。

赤身の部分は普通のチョコで、
脂の部分はホワイトチョコだった。

見事な出来栄えである。

「はは…」

ユーゴは大きな肉…
もといチョコを手にして、
思わず顔を綻ばせた。

「エポナらしいな」

いつも無愛想な彼にしては
珍しい表情である。

そしてその様子を見る兄の顔もまた、
この上なく緩みきっていたのだった。