すな粉妄想日記

俯きがちに階段を降りて来たユーゴ姫を見ると、
ダレス王子は笑みを浮かべました。

「お早うございます、姫」

昨夜の事など、まるでなかったかのような
態度でした。

ユーゴ姫は激しく動揺しながらも、
何とか答を返しました。

「……お早うございます…、ダレス王子…」

今にも消え入りそうな声でした。

心臓がもの凄い速さで脈打っています。

王子はそんな姫の側へ歩み寄ると、
体が触れ合うか触れ合わないかの距離で
立ち止まりました。

「……！！」

姫は反射的に身を硬くします。

「夕べは……」

囁くような声で王子が言いました。

「手荒な真似をしてしまい、申し訳ありません」

「…っ！！」

姫の脳裏に、再び昨日の悪夢が蘇ってきました。

力ずくで犯され、辱められた記憶……

それは姫の心と体に大きな傷跡を残したのです。

続く王子の言葉が、更に追い打ちをかけました。

「次はもっと、優しくします」

「…あ……」

ユーゴ姫は、背筋が凍るように
冷たくなるのを感じました。

体が震え出すのを止める事ができません。

ぐらりと視界が歪みました。

「ユーゴ姫」

王子がよろめく姫の体へと手を伸ばした時…

規則正しい足音がして、
２人の所へやって来る人物がありました。