すな粉妄想日記

「なあ…リコ」

「ん？何？ユーゴ」

どこかぽやんとした雰囲気の
幼馴染みに、ユーゴは改めて尋ねてみた。

「本当に良かったのか？ここに残って…」

魔物によって蹂躙された地上は、
無残にも荒れ果てていた。

これからの生活は厳しく、辛いものとなるだろう。

「うん。後悔はしてないよ」

リコは笑顔のまま答えを返す。

「………」

そのあまりの無邪気さに、
ユーゴは奇妙な安心感を覚える。

「はは…、のん気だな。リコは」

つられたように笑みが零れた。

「う～ん…。そんな風に言われるのは心外だなあ」

すると彼の幼馴染みは
僅かに眉根を寄せ、不満の声を上げる。

「これでも一大決心だったんだよ」

それはそうだろう、とユーゴは思ったが
どうやらリコの意図は違うらしかった。

「この際だから…言っちゃおうかな」

リコは眼鏡の位置を直すと、
大きく息を吸い込んだ。

「僕は、ユーゴが好きなんだよ」

「……え！？」

「だから、残る事にしたんだ」

そして再び、にっこりと微笑む。

「あ、う…？リ、リコ…それは…」

予想もしなかった告白に、
ユーゴはどう反応してよいか分からず
うろたえた。

舌がもつれて、うまく言葉にならない。

「あはは、別に返事はいらないよ？
ただ、僕の気持ちを伝えただけだから」

そんな幼馴染みを見かねてか、
リコは軽い口調で告げた。

「………」

「改めて、これからよろしくね。ユーゴ」

ユーゴは思った。

一見のんびりしたこの幼馴染みには、
決して適わないと。