すな粉妄想日記

『要するにあんたは…』

エポナの言葉が繰り返し、
頭の中で再生される。

『兄貴が好きって事でいいんだろ？』

図星、だった。

「………」

ユーゴはきつく唇を噛み締める。

怒りと憎しみで強引に上塗りした、
狂おしい程の感情。

決して表には出すまいと誓った。

……許されない、事だから……

エポナは単に兄弟愛だと思って
「好き」と言ったのだろうが……

（違う）

違うのだ。

そんな普通のものではないのだ。

ユーゴが、実の兄に対して
抱いている想いは。

兄弟愛などという
生易しい感情ではなく。

「……くそっ！！」

いたたまれなくなって
思わず拳を壁に叩きつける。

じん、と鈍い痛みが腕を伝った。

……どうすればいい？

相手は裏切り者だというのに。

自分の手で始末しなければならないというのに。

それも、血の繋がった兄だというのに。

……どうすればいいんだ？

この、胸を抉る激しい感情を……

「………っ…」

薄暗い塔の中、
ユーゴは独り嗚咽を漏らした。