すな粉妄想日記

綺麗な瞳だと思った。

真っ直ぐで、疑う事を知らない、澄んだ瞳。

「……ジャン？」

この状況に至ってもまだ、
事実を受け入れらずにいるようだ。

「どうして……、っ！」

最後まで待たずに言葉を遮る。

相手の唇を、自分のそれで塞ぐ事で。

「…ん、んん～！！」

さすがに驚いたのか、ユウは手足を
ばたつかせて暴れ出した。

が、そんな抵抗など、
ジャンにとっては可愛いものだった。

力で負ける気はしない。

温室育ちの当主様なんかに
自分が劣る道理はない。

「ん…っ…、ぅ……」

苦しげな吐息が漏れる。

体を離すと、ユウの愕然とした表情があった。

瞳には涙が滲んでいる。

「………」

心のどこかで、ちくりと何かが痛んだ。

同時に抑えきれない衝動が
湧き上がって来るのも自覚する。

雄として、最も本能的な欲求。

ジャンは目前の相手を、
その捌け口にする事を決めた。

獲物を前にした狼のように。

「なあ…ユウ」

もう、隠し続ける必要もない。

「お前の目…好きだったぜ」

次に出会った時、その瞳はまだ
汚れのない色を残しているだろうか。